Rethink 夫婦の時間 二人のこと、もう一度。

夫婦の当たり前をRethink! 週末婚を選んだ妻に聞いた、夫婦の新しい暮らし方。

今まで当然と思っていたことも、視点を変えてみると新しい発見をすることがあります。それは、「夫婦」という関係性においにも当てはまること。今回は、平日は別々に生活しながら、週末だけを一緒に生活する「週末婚」を選択した妻に、それを選ぶまでの経緯、週末婚をはじめてから変化した夫婦のことなどを聞いてみました。

夢に見ていた二人の生活。

今回、インタビューに応じてくれたのは、週末婚をはじめてから3年半が経つというYさん。彼女が結婚したのは、5年前の夏。ちょうど30歳を迎える節目にプロポーズをされたそう。

「私の誕生日はお盆真っ只中なので、毎年実家で過ごしていたんです。でも、その年は、夫から一緒に過ごしたいと言われて、『もしかして!?』ってちょっと勘付いていましたね(笑)。2年半つきあって、彼となら結婚したいなって考えていた頃だったので、ウキウキした気持ちで夏休みを迎えました」

Yさんの直感は当たり、ドライブデートの帰り道で結婚を申し込まれたそう。すぐにOKの返事をして、そこから結婚へ向けてめまぐるしい日々がスタート。

「噂には聞いていましたが、結婚の準備ってすごく忙しくて。両家顔合わせが終わったと思ったら、今度は式の準備。婚姻届をいつ提出するかとか、新婚旅行はどうしようとか。並行していくつものタスクをクリアしないといけない。しかも、式の2ヶ月前から一緒に暮らすことにしたので、引越しも相まって人生で一番忙しかったかもしれません(笑)」

新居に選んだのは、二人の職場の中間にあった1LDKのマンション。Yさんは家で仕事をする時間も多く、最初は2LDKを希望していたそうだけれど、新築で気持ちいい自然光が入るその部屋が気に入って即決した。

「一目惚れだったっていうこともあるのですが、本当に忙しく時間もなかったので、二人が気に入ったのならいいかと軽く考えていました。それに、夫と一緒に暮らせるのが嬉しくて、多少狭くてもいっか!と楽観的でしたね」

「自分の時間が欲しい」がきっかけに。

新居に越してからも、式に向けて慌ただしい日々が続き、ようやく生活が落ち着いたのは挙式から1ヶ月を過ぎた頃。

「週の半分は気合の入った手料理を作り、ほとんどの家事も私が担当していました。あの頃は、理想の新婚生活のためなら、自分の時間がなくてもいいやって感覚でしたね」

最初の頃は、幸せいっぱいだったと振り返るけれど、一緒に暮らしはじめて8ヶ月を過ぎたあたりから、何かが違うと感じるようになったYさん。

「つきあっていた頃も、お互いの家にお泊まりしたり、旅行していましたが、長くて3泊4日。二人で一緒に暮らすことが日常になってしまうと、彼のクセだったり、小さな習慣の違いがだんだんストレスになっていたんです。でも、一番の悩みは、自分の時間がないことでした。夜、家で仕事している間も、同じ空間には趣味のゲームに没頭する夫。集中できないし、ゲームする時間があるなら家事をしてよって、どんどん不満が溜まってしまいました。彼に静かにしてとお願いしたら、『自分の家なのに』と文句を言われて。なんで1LDKを選んでしまったんだろうって以前の自分を恨んだり(笑)。私の心が狭いのかなって、どんどんネガティブになっていきました」

そんなYさんの変化にいち早く気づいたのは、彼女の友人だったそう。

「友人とは、結婚後も2週間に1度は会って、お互いの近況報告をする仲だったんです。『元気ないね。大丈夫?』と聞かれた瞬間、それまで一人で抱えていた悩みが溢れてしまって。このままではあんなに好きだった彼を嫌いになってしまいそうだと、気づいたら相談していました」

翌日その友人から、「どうしても辛くなったら、私の家に泊まっていいよ。ホテルに泊まってみるのも気分転換になると思うよ」とLINEが入った。

「そのメッセージを読んだ瞬間、まずは1日だけでも一人になろうって決めたんです。そして夫には、今まで我慢していたこと、一人の時間が欲しいことを話しました。後半は感情が高ぶって、ほぼ泣きじゃくるだけでしたが(笑)。夫は寝耳に水という感じでずっと黙っていましたね」

気まずい雰囲気のまま翌日を迎えたYさん夫婦。けれど、夫からある提案があったそう。

「『今まで甘えていてごめんね。今週末は僕が実家に帰るから、一人で過ごしてみるのはどう?』って言われたんです。ホテルに泊まる気満々だったんですが、確かに引っ越してから家で一人で過ごしたことがなかったので、その言葉に甘えることにしました。その週末は、本当にリラックスできて(笑)。朝ごはんの心配がないから寝坊できるし、結婚する前に好きだったドラマを一気見したり、友達と長電話したり。すっかりリフレッシュしたのと同時に、また彼との生活に戻ってまたネガティブな自分にもどるんじゃないかと不安も感じたんです」

自分の気持ちを整理するためにも、暮らしで何を大切にしたいかを考え、その項目を紙に書き出したというYさん。

「考えつくだけの希望を書いたら、多分40項目くらいあって(笑)。そこから、5つに絞ることにしました。それが、『仕事に集中したい』『時々は家事をさぼりたい』『夫が喜ぶ料理を作りたい』『友人と自由に電話したり家飲みもしたい』『お互いが気を使わない生活がしたい』でした。そして、夫が帰ってきたら、別々に暮らさないかと投げかけていました」

ルールを決めてはじめた週末婚。

結婚しているのに別々に暮らすのは変だと夫から反対をされたけれど、根気よく説得を続けたYさん。

「お互い仕事に集中できること。自分の趣味や予定を優先できること。二人のストレスが減ること。思いつく限りのメリットを夫にプレゼンしました。でも、なかなかうんとは言ってくれませんでした。ただ、最初に提案してから2ヶ月を過ぎた頃、彼の気持ちもだんだん変わってきて。まずは近場のウィークリーマンションを借りて、プレ週末婚をしてみることになりました。私の荷物が多かったので、彼がウィークリーマンションに住むと言ってくれて。土日と平日1日は、彼が二人のマンションに帰ってくるという生活になりました」

そのプレ週末婚は1ヶ月と決めていたYさん夫婦。最後の週末、意外にも夫から正式に週末婚を考えないかと提案が。

「まさか! とびっくりしたのですが、私としては万々歳。実はプレ週末婚の間、寂しさを覚えたこともたくさんありました。やっぱり二人で暮らすほうがいいのかなって何度も思いましたし。でも、やっぱり仕事に集中できるし、一人の日なら家事を手抜きしても罪悪感がない。心が穏やかでいられるから、前ならイラっとしていた彼の行動も気にならなくなるし。彼も同じことを感じていたそうで、お互いが楽しく生活できる週末婚のためのルールを一緒に考えました」

Yさん夫婦が決めたルールはシンプル。まずは、基本的に週末は一緒に過ごすこと。そして、朝晩に必ず連絡をとること。

「プレ週末婚のときは、平日も一緒に過ごすこともあったんですが、やっぱり平日は仕事に集中したいねと二人で決めました。1駅隣に単身者用のアパートを借りて、夫が引っ越すことに。私が引っ越すと言ったのですが、キッチンが狭いので料理をする人がこの家に残るべきと夫が譲ってくれて。週末だけというルールはあるのですが、例えば平日にごはんを作る余裕がある日は、夫に連絡して一緒に食事するときもあります。
また、どうしても別々に暮らしているとコミュニケーションが少なくなるので、『おはよう』『おやすみ』の連絡だけは必ずとるようにしています。たまにテレビ電話をするのですが、なんだか恋人同士だった頃みたいとちょっと楽しかったり(笑)。
細かいルールも決めたほうがいいとは思うのですが、ルールが厳しすぎると自分たちの首を締めてしまいそうなので、この二つを守ろうねと夫と話しています」

より愛おしくなった夫婦の時間。

週末婚をはじめてから3年半が経ったYさん。今回週末婚を選ぶまでを振り返ってみて、気づいたことがあると話してくれました。

「基本的に週に2回しか顔を合わせないので、自然とその時間を大切にしようとお互いが思うようになしました。もしかすると、今が一番お互いに優しいかも。例えば、前は毎日のようにゲームをしていた夫が、週末婚を始めてからは私といる時間はゲームをしなくなったんです。私からは何も言っていないのに、彼が自然と思いやってくれているんだと嬉しくなりましたね。私も、彼には体にいいおいしい料理を食べてもらいたいから、今まで以上に気合いを入れて料理をするように。でも、それは私がやりたいと思って楽しんでいるので、前に抱いていた家事へのストレスはありません。
あと、夫婦のことではないのですが、やっぱり私は仕事が好きなんだと確信しました。キャリアアップをしたいとも思っているので、平日は仕事に集中できる今の環境が幸せです」

とはいえ、今の状態になるまでは困難もあった。

「週末婚をスタートさせて1年半くらいは、よっぽど信頼している友人を除いて、お互いの親や職場の人などに、週末婚をしていることは隠していたんです。やっぱり、結婚したら一緒に暮らすものっていう感覚の方が当たり前だと思うので。実際、私も以前は一緒に暮らすことが当たり前だと思っていましたし、別々に暮らす=離婚だと勘ぐられても嫌だなって思って。でも、私たち夫婦にとって一番いい関係性が週末婚だったというだけで、変に隠す必要はないなってだんだん思えるようになりました。
週末婚を初めて2年目を迎えるタイミングでお互いの両親にも話して。最初から全てを理解はしてもらえませんでしたが、私たち夫婦の仲がいいことはわかっていましたし、幸せならそれでいいと今では理解してくれています。職場でも、あえて自分から言いふらすことはしませんが、飲み会などで夫について聞かれたときは、隠さずに話すようにしています」

まだまだ驚かれることも多いけれど、今では胸を張って週末婚をしていると話せると笑うYさん。最後にどんな人に週末婚をおすすめしたいかと質問すると、少し悩んでからこんな答えが返ってきた。

「こんな人におすすめって言えないと思うんです。だって、夫婦の在り方って本当にそれぞれだと思うので。もしかしたら週末婚を視野に入れる人もいるかもしれないし、私の考え方には賛成できないって人るかもしれない。それが当然だと思っています。私のこの生活はひとつの例であって、こんな考え方もあるんだって感じてもらえたら嬉しいですね。だって、私自身も、まさか自分が夫と別々に暮らすなんて新婚当時は考えてもいませんでしたから(笑)。ひとつ言えるとしたら、我慢を強いる生活は長くは続かないと思っています。そのために夫婦でどんな暮らしをすればいいのか、それを二人で考えることは大切だし、私たち夫婦もそこは忘れずに暮らしたいと思います」

これからも週末婚を続けていきたいと話すYさん。けれど、ライフステージが変化したら、また一緒に暮らすこともあるかもしれない、とも。夫婦にとってベストな状態を常にアップデートしているYさんのように、まずは何ができるのかを考え、少しずつ行動することが大切なんですね。
Yさんが言っていたように、本当に夫婦の在り方はそれぞれで、これだという正解はありません。こんな夫婦もいるんだと知って、自分たちなりの夫婦の在り方を見つけていきたいなと感じるインタビューでした。