Rethink 夫婦の時間 二人のこと、もう一度。

部屋を整えたら、夫婦仲は良くなるの? ライフオーガナイザー・Akiさんインタビュー【後編】

家をきれいに整えたら、夫婦喧嘩が減るって本当? でもそもそも、きれいをキープするための家事を続ける自信がない……。そんな思いを抱え、その解決策となるアイデアを、ライフオーガナイザーとして活躍するAkiさんにインタビュー。後半では、夫とのコミュニケーションの方法や、家事分担に対する考え方について伺います。

自分以外の誰かにわかりやすい仕組み作り。

家電を活用することで、夫と妻、「どちらがやる?」と考えるのではなく、どちらもが「手放す」ことができたというAkiさん。そこには、システムをうまく回していくための、仕組み作りがありました。

DSC_9743-1

「例えば、前編でもお話ししたのですが、食洗機って、食器は機械が洗ってくれますが、食器をセットするのは私たちですよね。そこに、『この素材、食洗機に入れていいのかな?』と迷ったり考えたりするひと手間が入ると、途端に面倒になってしまいます。だからわが家に取り入れる食器や保存容器は、 “食洗機OK” が大前提。誰でもできる仕組み、というのは、『迷い』をなくすこと。仕組みをシンプルにすることです」

例えば、夫がキッチンに立ってくれたはいいけれど、使いかけの調味料があるのに新しいものを開けちゃった、なんてことはよく聞く話。そこでAkiさんは、「使いかけのものはすべて冷蔵庫に」というルールを設けました。

「冷蔵保存する必要がない乾物や調味料、食べかけのお菓子なども、できるだけ冷蔵庫に入れるようにしました。言い換えれば、『冷蔵庫に入っているものは、なんでも使っていい、食べていい』ということ。そうすることで、夫も迷うことがなくなりました」

DSC_9745-1

乾物や調味料、食材などのストックも、一か所にまとめるのがルール。もしなくなっても、「ここを見れば」というルールがあれば、迷うことがないそう。

「使って “いいもの” と “悪いもの” を混在させないことがポイントです。このルールは、洗剤やティッシュなどの日用品のストックでも同じように使えますよ」

DSC_9719-1

「家事って、妻のやり方がルールになりがちなところがあると思うんです。
でも、夫が妻のやり方を察して、同じレベルにというのは難しすぎますよね。
それなら、工場の配置のように、いつ誰がやってきてもわかりやすく、作業に取り組めるような仕組みにしたいと思いました」

Akiさんの仕組みは、夫だけでなく子どももお手伝いしやすい環境にしてくれます。さらには、親や親戚、ヘルパーなどに来てもらう際にも、どこに何があるかを伝えやすく、お手伝いをお願いするハードルが下がりそう。結果、きれいを保ててご機嫌が続くなら、夫婦喧嘩も減る気がしませんか?

DSC_9824-1

スマホひとつで完結できる、情報の共有。

Akiさんを見ていると、「妻が夫に頼む」「夫が妻にやらされている」という関係性は皆無。夫婦が、家族が笑顔で暮らすというゴールに向かっているチームのようにも感じます。

DSC_9677-1

そして結婚12年、50㎡・1LDKの住まいで常に相手を感じながらも、ほとんど喧嘩をしないといいます。子どもが寝た後に2人で会話の時間を設けたり、あえて夫婦だけで食事でかけたり、そんな時間を心がけているのでしょうか?

「LINEでその都度連絡を取り合ったりはしていますが、そういえば、改まってミーティングをしようとか、2人でランチにでかけたりというのはしていないですね。そのかわり、こまめに情報は共有しているかもしれません」

子育て中の共働き家庭では、妻と夫の仕事とプライベート、子どもの園や学校など、スケジュールとタスクが折重なることも。この確認不足やすれ違い、小さなズレを埋めることが、円満で良好な夫婦関係には欠かせません。Akiさんが使っているのは、iPhoneのカレンダー&メモ機能です。

「予定は、夫婦でそれぞれ相手の予定を見られるように共有しています。例えば、朝の7時にアラーム通知をセットして、『学校 水筒と体操服』なんていう使い方も。これなら夫も子どもの持ち物を確認できますから、私だけが忘れないでおかなくちゃ!と気負うこともなくなります」

DSC_9756-1
iPhoneのメモアプリにあるスキャン機能なら、写真をパシャッと撮るだけできれいに保存してくれる。人物マークのアイコンが、共有のしるし。

さらに学校のお便り関係は、メモ機能に集約。写真を撮るとスキャンできる機能がついているので、必ずここに保管し、必要なものは共有設定に。これで同じ内容が、夫のスマホにも反映されるという仕組みです。スキャンしたあとの原本は、最新だけを残して処分しているそう。

お便りでリビングが散らかるのを防ぐだけでなく、子育ての情報を夫婦で共有することは、長く続く育児負担を一緒に分け合うこと。これもまた、夫婦が仲良く過ごせるアイデアのひとつです。

「半分こ」ではなく、できるほうが、できることを。

DSC_9702-1

こうしてご紹介していくと、Akiさんと夫の家事分担は、フィフティーフィフティーを徹底していると思う方もいるかもしれませんが、そうではありません。

「料理は好きですし、帰宅の時間も早いので、主に私がやっています。ちょっとした下ごしらえや作り置きも、朝の時間に私の担当。だから食材宅配の注文も私がやったほうがスムーズだし、日用品の在庫管理や発注などもそうです。
でも、だからといって私ばかり!と感じないのは、その間、夫も自分ができることをやってくれているからだと思います。
例えば朝は、私が朝ごはんを準備したり、夕飯の下ごしらえをしている間に、夫が子どものドリル学習をサポートしてくれています。子どもと遊ぶのも、夫のほうが断然上手。私にはできない細かいブロックやパズルも、夫と子どもは一緒に楽しく取り組んでいます。家電などをメンテナンスしてくれるのも、メカ好きの夫です」

DSC_9678-1
親子で楽しみながら作ったブロックの作品は、窓辺に並べて。

「すべてをフィフティーフィフティーにしなくてもいいのかな、と思います。
まずは、この家事本当に必要かな?というのを疑ってみるのもひとつです。機械やアウトソーシングに頼れるものは頼ってみる。そうしたら、夫婦どちらも手放せて、その時間で何か別のことができますしね」

DSC_9723-1

「子育てに忙しい世代は、同時に働き盛りで多忙な世代でもありますよね。だからこそ、どちらかが頑張りすぎると長く持たないと思うんです。相手に聞かなくても自分で動けるような情報共有、どちらかが親切心でやったことが“かえって迷惑!”にならないためのシンプルな仕組みなどを少しずつ考えてきたことで、うちも夫婦の歯車がうまくかみ合い出した気がしています」

”部屋が整ったら、夫婦仲が良くなる。”
これは極論かもしれません。でも、Akiさんのすっきりとした部屋へのプロセスには、妻ばかりが頑張らずに、夫と家事を共有する。一緒に手放す。そんな積み重ねがありました。
小さな一歩が、もしかしたら夫婦円満の鍵になりそうです。

Akiさん
ライフオーガナイザー。外資系企業のマネージャーのかたわら、ライフオーガナイザーとしてセミナーやブログを通じて、シンプルでムダのない暮らしを提案している。著書に『家事を手放してシンプルに暮らす』(ワニブックス刊)
ブログ『Living Small

写真・村上未知 取材、文・藤沢あかり