Rethink 夫婦の時間 二人のこと、もう一度。

働く妻にインタビュー。 産休・育休って実際どう? 2度の経験からわかった家庭と仕事の両立の仕方。

女性のキャリアアップを支援する企業も増加し、産休や育休をとって仕事に復帰する女性たちも増えています。とはいえ、ライフステージが変化する度に悩みに直面することも。そこで今回は、気になる育休のあれこれについて、2人の子どもがいるJT社員の森田佐知子さんに教えてもらいました。

福利厚生のありがたさを実感。

今年の8月に2度目の育休を終え、仕事に復帰した森田さん。JTはフレックスタイムを導入しているため、現在は朝8時に出社し、保育園の迎えの時間に合わせて帰宅する生活を送っています。2008年にJTに入社した森田さんは、大阪支店で2年間の営業を経験。そのとき、一緒に働いていた先輩が現在の夫。

「入社1年目のとき、先輩である夫と付き合い始めたのですが、2010年に私が本社に異動になったんです。偶然にもその3ヶ月後に夫も本社に異動になって。仕事がやりづらくなるのが嫌で、社内恋愛していたことは内緒にしていたので、すごく驚きましたね。周りには2013年の結婚するタイミングで報告しました」

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急な残業や子供の発熱による保育園のお迎えが入ったときは、社内チャットで夫に相談。お互いのスケジュールもある程度把握できるのも、社内結婚のよさかもしれないと森田さん。

2010年の異動から、プロモーションの仕事を担当することになった森田さん。イベントプロモーションにはじまり、ブランドの広告やツール開発などを担当。平日は残業も多く、仕事に邁進する日々を送っていたそう。そんな彼女に転機が訪れたのが、2014年。

「長男を妊娠し、産休・育休をとることになりました。ちょうどその頃、社会的にも女性の働きやすさについて注目され始めた時期で、長男を出産したころに、社内の福利厚生が更に整ったんです。実際のワーキングママの意見を吸い上げて制度が作られたので、フレックスタイム勤務の導入、さまざまな補助金など、まさにかゆいところに手が届くという感じで。本当にありがたいという気持ちしかないですね」

実際、2年間の育児休暇の保証だけでなく、子ども一人あたりにベビーシッター代や延長保育料の補助など、育児に関わる助成もたくさんあるそう。男性社員の場合は、妻の出産時には1週間の「妻産休暇」や育休もある。こういった制度の充実だけでなく、会社の雰囲気も働きやすいポイントだと森田さんは話します。

「うちの会社では、子どもが熱を出したから病院へ連れていくために午前休にする、保育園へのお迎えがあるから早く帰るなど、女性だけでなく男性社員も積極的に子育てと仕事を両立している人が多いんです。そういう人たちがいると、ママとしてはとても働きやすいですね。あと、育休中に会社の情報に疎くならないように、人事情報などをメールで受け取れるシステムもあるんです。定期的に上司と面談があったりと、育休中でも置いてけぼり感はなかったですね」

育休後の仕事復帰に不安を覚える妻も多いと聞くけれど、会社のサポートのおかげもあって、今年8月に森田さんも2度目の育休から復帰。最初こそは、システムの違いや同僚の変化に戸惑うこともあったけれど、1カ月も経てば慣れ、以前と同じように働く日々。とはいえ、長男を出産してからは働き方への意識が変わったという森田さん。子どもが生まれるまでは、夜に残業することも多く、休日は日々の疲れをとるための時間となっていたそうだけど、子どもが生まれてから真逆の生活となった。

プライベートを充実させるために、効率のいい仕事へとシフト。

「とにかくプライベート重視に。今ではプライベートを充実させるために仕事を頑張るという考え方になり、メリハリをつけて仕事するようになりました。前は10時までに出社すればいいと考えていたのですが、今では8時には出社。人がいない時間に集中して仕事を進め、保育園のお迎えの時間に帰るというのがルーティーンとなっています」

さらに、2度目の育休を終えた現在は、週に1度残業の日を設定しているのも、森田さんらしい働き方。

「1度目の育休明けのときは、残業日を設けていなかったんです。お迎えがあるから、毎日17時には帰らないといけない状態で。でも、うちの部署の多くの人の出社は朝の10時で、昼過ぎから夕方くらいが一番忙しかったりするんですよね。そういう状態なのに、業務を切り上げて帰らないといけない心苦しさを感じたこともありました。だから今回は、週一で残業日を作り、ストレスのないように仕事をしています」

普段、子どもたちのお迎えは森田さんが担当しているけれど、残業の日は夫の担当となる。

「残業日は子どものお迎えがないので、家に帰ったら至福の時間。すでに子どもも夫も寝ているので、ネット動画を見ながらひとり晩酌しています(笑)。こういうひとりの時間も大切なんですが、やっぱり子どもと一緒にゴロゴロする時間も好きですね。普段は19時くらいには、ごはんや片付けも終わらせるので、そこからは私と息子たちのゴロゴロタイム。単純に子どもと戯れる毎日も大好きで。だからこそ、仕事をより効率的にこなすようになりました。実は、子育てをするようになってから、タスクやスケジュール管理の能力が伸びたなと感じることがあるんです。子どもって待ってくれないから、どんな状況でも即対応しないといけない。そんな風に日々育児で鍛えられたから、仕事の効率もアップしてきたなと思います」

2度目の育休で気づいた「まぁいいか」の大切さ。

2014年に長男、2018年に次男を出産し、どちらも約1年間の育休を経て仕事に復帰。同じ育休でも違いを感じたそう。

「1度目の育休は、初めての育児でわからないことだらけで大変ではありましたが、ただただ幸せだったんです。でも、2度目の育休では新生児に加えて上の子もいるので、最初の頃は生活リズムがつかめずちょっと辛かったですね。下の子が大きくなるにつれて、ごはんとかお風呂とかを二人一緒に世話できるようになって、徐々に楽になってきましたね」

そんな時間に追われる生活で気づいたのは、全てを頑張りすぎないこと。

「長男のときは、初めての出産に育児ということもあって、ちゃんとやらなきゃという気持ちが強くて。育児だけでなく、料理や掃除などの家事、保育園の準備とか、全てを完璧にしなきゃっていつも思っていましたね。でも、2度目の育休をとってみて、そんなに気を張らなくてもいいなと感じている自分がいました。そして、“まぁいいか”を口癖にするようにしたら、気持ち的にも結構楽になりましたね(笑)。頑張り過ぎず、頼れるものがあれば、なんでも頼っています」

実際、便利な家電やお掃除グッズなどを生活に取り入れている森田さん。例えば、朝に夕飯の仕込みをするときは、自動調理家電の出番。「カレーとかシチューとか、煮込み料理のときはすごく便利なんですよ。ハンディチョッパーで刻んだ野菜とルーを鍋に入れたら終わり。ハンディチョッパーなら洗い物が少なくなるし、何より楽なんです」と、早い時には10分足らずで夕飯の仕込みが終了するのだとか。

「洗濯はジェルボールを使えば測る手間も省けるし、お風呂掃除もスプレーするだけの洗剤を選んでいます。そうやって日々の家事がちょっとでも楽になるなら、どんどん頼っていいと思いますね」

家事を“見える化”して、夫を説得。

もちろん、モノだけでなく夫の協力もあってこそ。厳密に分担をしているわけではないけれど、今ではお互いの担当が自然と決まっているそう。例えば、子どもの保育園への送り、洗濯、トイレ掃除は、基本的には夫が担当。とはいえ、その関係が築けたのは、森田さんのある行動がきっかけに。

「実は最初の育休明けに、家事の分担で夫ともめたことがあったんです。そのとき夫にすごく腹が立ったので、エクセルで当時の家事分担表を作ってみたんですよ。もう、プレゼン状態でしたね(笑)。そのときに大事にしたのが、項目別ではなく時間軸の表にすること。日々の家事もですが、例えばお歳暮の手配とか、年間の細かい作業も全て可視化しました。それを夫に見せたら納得してくれて。お互いにわかっていない家仕事はたくさんあるので、そういう作業を“見える化”させるのは、説得しやすくなるのでおすすめです」

最初こそぶつかることもあったけれど、今では夫の家事スキルを80点と高評価。残りの20点には、もう少し自発的に動いてほしいという今後への期待が込められている。夫のことを、「なんでもできるパパ」と話す森田さん。それにはある秘密が。

「育児は二人のものであるということを刷り込ませるために、長男が生まれた瞬間から夫をパパへと育てましたね(笑)。長男の最初のオムツ交換は夫にしてもらったんですが、それ以降オムツ交換は自然と夫の担当になりました。息子が夜泣きをしたら、夫が眠そうながらも必死でオムツを交換してくれたり。そういうことが積み重なって、洗濯や掃除もしてくれるようになったと思います。洗濯物をたたむ作業も夫の方が格段に上手なので、“その角を重ねるたたみ方上手だね!”って褒めちぎってやってもらっています(笑)」

そうやって、お互いに心地いい関係を作ってきた森田さん。普段はなかなか夫婦水入らずの時間はないけれど、年に一度、特別な日があるのだそう。

「会社の創立記念日が休みなので、その日だけは夫婦でデートをしています。これは社内結婚ならではのいいところだと思いますね。子どもがいるとなかなか行けないようなお店で食事をして、マッサージに行ったり。普段子ども中心で、夫婦二人きりの時間はなかなかとれないので貴重な日になっています」

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マメな性格だという森田さんの夫。「誕生日、結婚記念日、母の日は必ずお花をくれるんです。宅配ですけど(笑)。でも、すごくうれしいですね」

キャリアとプライベートの両立。

働く妻たちの悩みで多いのが、「キャリアと家庭の両立」について。実際、森田さんのまわりでも、この話題がよく登場するそう。入社12年目の森田さんが、この先描く未来は?

「プロモーションの部署で働いて約10年。その間に培った知見を次の世代に受け継いでいかないととは思っています。上司からも、“仕事でも育児をしなさい”って言われていて(笑)。次の世代を育てるということも、これからチャレンジしていきたいですね。
ひとつ思うのは、もっと社会全体の仕事の時間軸が変わればいいのになって。夜遅くまで残業するという社会の風潮は、やはりママにとっては辛い部分もあるんです。だからこそ朝残業を選択できたり、仕事の終わりの時間をさっと決めれたり、もっとメリハリのある仕事をする環境になったら、よりみんなが働きやすくなると思いますね」

自身のキャリアも着実に積み重ね次のステップへと進みながらも、プライベートを充実させている森田さん。彼女が2度の育休から学びを得たことは、これから出産を控えるプレママだけでなく、家事との両立に悩む妻も真似したいことばかり。「頼れるものは頼る」「家事を見える化して夫と話す」「仕事の時間軸を考え直す」など、どれかひとつでもライフスタイルに取り入れてみると、夫婦の関係がよりよい方向に変わるヒントになるかもしれません。

森田佐知子さん
2008年、JTに入社。大阪支店で営業を経験した後、2010年に東京本社に異動。イベントプロモーションの企画・運営などを経て、現在はプルーム・テックなどの「Reduced-Risk Products, RRP(リスク低減製品)」の広告・ツール開発を担当している。プライベートでは、結婚7年目。2014年に長男、2018年に次男を出産。

撮影・内山めぐみ