Rethink 夫婦の時間 二人のこと、もう一度。

クリエイティブに働く妻にインタビュー vol.2「完璧を目指すのをやめて、優先順位をつけたことで変わりはじめました」

地方に住みながら、クリエイティブに働く人たちを応援するプロジェクトの「Rethink Creator PROJECT」。デザイン未経験でも参加できるセミナーを日本各地で開いたり、未来のクリエイターを発掘する「Rethink Creative Contest」を開催したりと、その活動でクリエイターたちを支えています。そんな「Rethink Creator PROJECT」で活躍する妻たちの働き方について迫るこの連載。第2回目の今回は、プロジェクト発足時から、Rethink Creatorとして活躍されている亀井智子さんに、地方での働き方や、家庭と仕事の両立についての彼女なりのコツについて聞いてみました。

プロジェクトに関わることで、地元の魅力を再発見。

鳥取県でフリーランスのデザイナーとして働いている亀井さん。以前は、地元企業に勤めていたけれど、「Rethink Creator PROJECT」を運営しているクリエイターズマッチの出合いで、フリーランスの道に。ちなみにクリエイターズマッチとは、WEB広告のバナー・LPの制作に特化し、仕事が欲しいクリエイターと発注したい企業をマッチングさせるサービスを行なっている会社。

「前職でECサイトの担当をしていたとき、必然的にデザインもやらないといけない状態になったんです。でも、独学での習得が難しいと感じて、デザイナーズスクールに通い始めました。そのときから、クリエイターズマッチの仕事も受注するようになって。在宅でもデザインを仕事にできるんだとわかったので、フリーランスとして挑戦してみようと思い独立しました。2018年にRethink Creator PROJECTが始まると聞いたときも、私もぜひ参加させてもらいたいと思ったんです」

プロジェクトに専属クリエイターとして関わることが決まり、亀井さんが最初に任されたのが、コンテストに参加する人たちに向けて参考事例となるポスターを作ること。この仕事は、亀井さんにとっても思い出深いものに。

「ちょうどいろんな物事を新しい視点で見つめることに意識して取り組んでいたときだったので、どんな表現方法があるのか考えながら、制作していたのを覚えています」

しんどいことも、視点を変えてみれば楽になる。

プロジェクトに参加して、“視点を変えること”を学んだと振り返る亀井さん。

「このプロジェクトって、当たり前のことも視点を変えたらおもしろくなるよっていうことを伝えているんですけど、これはデザイン以外にも言えると思うんです。例えば、日常生活でこれがしんどいなって思うことがありますよね。でも、別の角度から見れば、自分の役に立っているんだと気づくことができたり。そんな風に見方を変えると、なんだか少し楽になれるんです」

セミナーでは、デザインを学べるだけでなく、視点を変えるトレーニングに繋がると話す亀井さん。実は、今年の米子セミナーは、主催するクリエイターマッチの講師ではなく、亀井さんをはじめとする4名のクリエイターが中心となって開催。「地方のクリエイターを育て、未来に繋げていく」という、クリエイターズプロジェクトの目指すカタチが実現した。

「地域のメンバーと相談して、今年のセミナーについて本部に提案してみたんです。“それなら自分たちでやってみる?”と言われ、じゃあ挑戦してみようって。人前で喋ることって難しいし、このプロジェクトで伝えたいことが私にきちんと発信できるのかにも不安はありました。でも、プロジェクトが目指す“地域の魅力を発信すること”は、自分が目指している事と同じなんです。だから、私なりに自然と伝えられることがあったのかなと思います」

春の第1シーズン、夏の第2シーズン共に大成功。どちらも和気藹々とした雰囲気で進んだそう。

「プロジェクトがあることでクリエイター同士も繋がれるし、仲間が増えていくのは心強いですね。実際に、プロジェクトを通して、全国に仲間が増えました。私は、デザインって“伝えること”だと思うんです。興味があれば、SNSに投稿するのと同じ感覚で気軽に挑戦してもらいたいですね。私は、やりたいと思ったならためらわずやってみる性格で(笑)。もちろん、失敗することもあるんですけど、やったからこそ気づくことが必ずあるので。挑戦することって楽しんですよ。だって、挑戦すれば、自分自身もレベルアップできるし、新しい自分に出会えますから」

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和気藹々とした雰囲気の米子セミナー。黒いTシャツをきた女性が亀井さん。

フリーランスは、自由なようで自由じゃない。

3人の子どもを持つ母親でもある亀井さん。自由に時間を選べるイメージのフリーランスだけれど、ときにはそれがデメリットになることも。

「時間も働き方も自由な分、逆にメリハリがなくなることが。最初は子どもと関わっているのか、仕事をしているのか、自分が何をしているかわからないことがありました。でも、ずるずると仕事をせずに、リミットを決めて仕事をするように意識したら徐々に変わってきました。締め切りばかりに追われるんじゃなくて、できなかったとしてもまずはここまでに終わらせようっていう目標を立てるんです。スケジュールを書き出したり、タイマーをセットしたり、それを意識すると、時間の使い方が変わりましたね」

亀井さんの1日のタイムスケジュールはというと、8時半に子どもたちを見送った後、10時までは家事の時間。その後、地元の商店街に構えた事務所に場所を変え、子どもたちのお迎えまで働くのがルーティーン。

「もともと父がお店をやっていたんですが、その空き店舗に事務所を構えて1年半になりますね。ちょうど地域の商店街にも関わりたいなと思っていたこともありますし、場所を変えることで集中モードになれるんです」

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商店街の一角に構えた、亀井さんの事務所。

3人の子どもを育てながら、家事もこなし、仕事もある。多忙な日々のはずなのに、とても楽しそうな亀井さん。その秘密を聞いてみると。

「働きながらの家事や子育てって、職種に関わらずみなさん絶対に大変なはずなんです。だから、まずは完璧にしようという考えをやめてみる。昔は全部を完璧にこなしたいと頑張っていたんですが、それは無理でした(笑)。今は、時間も自分の体力も限られているからこそ、絶対にやらなきゃいけないこと、やりたいことの優先順位をつけるようにしています。すると、育児と仕事の両立のバランスがとりやすくなりましたね」

また、あることを意識することで、夫婦間で喧嘩が減ったそう。

「ルールを決めるようにしたんです。前までは家事のことにしても、どっちが大変かということばかりで論争になっていて。その対決は終着点が見えないし、喧嘩するだけ無駄だなって気づいて。自分がしてほしいこと、夫がしてほしいことを話して、夫婦のルールを決めています。破った方が悪いので、わかりやすいんですよね。例えば、うちでは皿洗いの担当は夫です。前までは、できるときに手伝うというスタンスだったけれど、それってすごく曖昧なので。明確に担当決めをすると、うまくいくようになりました」

飲食業を営む夫は、夜を不在にすることが多いため、平日の育児は亀井さんが主に担当。その分、日曜は夫に子どもたちを任せるようにしているそう。

「家族の助けがないと仕事はできません。お互いの両親が近くに住んでいるので、ときどき子どもたちを見てもらったり、日曜に仕事になったときは夫に任せたり。仕事に集中しやすい環境を作れているのも、家族があってこそですね」

これからも人と関わる仕事がしたい。

デザイナーと聞くと、パソコンと向き合ってばかりのイメージがあるけれど、亀井さんはそれだけではない。

「私は都会で働いたことがないのでその働き方はわからない。でも、地方でよかったと思うのは、人との距離感が近いところですね。人との温もりを感じながら仕事ができるのって、すごくいいなって思うんです。私の場合は、どんどん人と関わっていきたいデザイナーなので(笑)」

実際、地元のシャッター商店街を盛り上げるべく、地域復興の活動もしている。

「デザインをいかしながら、昔の商店街の賑わいを取り戻したいなって思うんです。私自身、視点を変えてみて“地元っておもしろいことがいっぱいあるじゃん”って気づけたし、みんなに伝えたいと感じる魅力がわかって。だからいろんな人と一緒に、やれることをどんどんしていきたいですね」

商店街イベント_チラシ
商店街のイベントのチラシも亀井さんが担当。※本イベントは終了しています。

インタビューのなかで一番印象的だったのは、「挑戦することは楽しい」という言葉。年齢を重ねるほどに、失敗をしたくないと思ってしまっていた私はドキリ。「失敗したとしてもやったからこそわかることがあって、そのおかげで前に進めている」という亀井さんの言葉を胸に、いくつになっても挑戦し続けられる自分でいたいなと思ったのでした。

亀井さんも関わっているコンテストの第3シーズンの応募要項はこちら。
https://rethink-creator.jp/contest/guideline.html

Rethink Creator PROJECTについてはこちらからどうぞ。
https://rethink-creator.jp/

これまでの『クリエイティブに働く妻にインタビュー』はこちら。
vol.1 「やりたいことがあっても、一歩踏み出さないと何も始まらない

野村紀沙枝
ライター。結婚4年目ながら、いまだに家庭と仕事の両立をどうするべきか模索中。喧嘩も日常茶飯事。インタビュー後、夫婦の家事分担のルール決めを実践すると、家事に関する喧嘩が激減。夫婦のルール決め、おすすめです。