Rethink 夫婦の時間 二人のこと、もう一度。

夫源病の考案者に聞く、夫婦の関係。 不眠、頭痛、食欲不振…その不調の原因は夫かも。【後編】

イライラや不安感、動機、息切れ、のぼせなど、更年期障害のような症状の多くが、夫が原因である「夫源病」の可能性が。さらに、妻のほとんどがこの病の予備軍だと言う石蔵先生(前編はこちら)。では、それを回避するにはどうすればいいのか、後編でお聞きしました。

イクメンブームが妻と夫を苦しめる。

安田 前編でご紹介したような夫源病の症状は、昔もあったのですか?

石蔵先生 戦後くらいまでは、お姑さんが同居していることが多く、嫁姑問題や介護の悩みが大きかった。その分、夫への不満が薄れていたんです。ただ、核家族した今、そのような悩みが軽減された分、夫への嫌悪感が際立ってしまうのです。

安田 なるほど。同居も、いい面も悪い面も両方あるということですね。

石蔵先生 また、おじいちゃん、おばあちゃんが育児に協力しにくい分、夫の協力が必要不可欠に。すると、イクメンブームが起こり、それがドラマ化されると“家事、育児をしてくれる夫が理想”ということになる。そうなると、何もしない自分の夫と、子供の世話から料理までしてくれるママ友の夫と比べてしまうのです。

安田 確かに比べてしまいます。

石蔵先生 まあ、イクメンと言っても“自称イクメン”も多く、「俺は手伝ってやってるんだ」と偉そうにしている夫もいます。そういう夫の妻は、やはりストレスを抱えていますね。

安田 外から見ると理想のイクメンパパでも、内情は分からないということですね。

男は育児には不向きな生き物。

石蔵先生 じつは、男性は育児には向いていないのです。動物界でも、メスが子育てに専念し、オスはエサを獲ってくるのが役目。20代から40代のパパが無理してイクメンになるのはストレスの原因にもなります。平日は夜遅くまで仕事をして、土日も子供を遊びに連れて行って…、というのでは疲れ果ててしまいます。

安田 そこまで、夫の負担は考えていませんでした。

石蔵先生 今の世代の夫婦は、「いい母親」「いい父親」のイメージに縛られて、それが出来ないとイライラして、夫婦仲悪化の原因にもなります。子育てはおじいちゃん、おばあちゃんにできるだけ協力してもらう。それが難しい場合は、子育てサポートに頼るのも手です。また、子育ては不向きだとしても、夫には家事を分担させること。妻が「自分がやればいい」と夫に何もさせないと、夫はますます妻の大変さを分からないままです。

安田 私もガマンして自分でやってしまいがちなので、少しは協力してもらうようにしなくてはと思います。

妻が原因の妻源病もある!?

石蔵先生 実は、夫が原因の夫源病だけでなく、妻が原因になる“妻源病”というのもあるんです。

安田 それは初耳です!

石蔵先生 「稼ぎが少ない」「役立たず」など、妻が夫に何気なくかける言動が原因となり、頭痛、めまい、耳鳴り、動機や気分の落ち込みなど、更年期障害と似たような症状が夫にも出てきます。

安田 男性の方が、精神的に弱いと言いますから、確かに妻源病があってもおかしくないかもしれませんね。

石蔵先生 ただし、これも、男性側が原因になっていることがほとんどです。育児や家事に無関心だった、コミュニケーションをとってこなかったなど、夫の長年の行いによって妻の不満が溜まり、それで夫に仕返ししているんですね。

安田 女性は昔のことをいつまでも覚えていますからね。

石蔵先生 夫源病にしても妻源病にしても、ガマンのしすぎが大きな原因になっています。だから、喧嘩してでもこまめに発散するのがいいんです。喧嘩もコミュニケーションのひとつですからね。

「嫌い」でなければ100点満点。

安田 ほかにも、夫婦仲を良くする秘訣はあるのでしょうか。

石蔵先生 お互いに期待しすぎないこと。「離婚するほどではない」という、ほどほどのレベルをキープできれば100点満点です。

安田 なるほど。「いつまでもラブラブな関係でいたい」と思うとハードルが高いので、そのくらいの温度でいたほうが上手くいくのかもしれませんね。

石蔵先生 それから子供がいる家庭なら、お互いを「パパ」「ママ」と呼ばずに名前で呼んだり、たまには子供を預け、ふたりで食事をするなどコミュニケーションを取ることも重要です。

安田 スキンシップも必要でしょうか?

石蔵先生 それを目標にすると、また急にハードルが高くなってしまうので、まずは「コミュニケーション」を取ることを目指すのがいいと思います。

安田 お互い仕事と育児をしていると、コミュニケーションを取る時間を確保することも、なかなか難しいですからね。まずは、「話をする」ことから始めてみるくらいの感覚で夫源病予防をしたいと思います!

今回、石蔵先生のお話をお聞きし、現在は情報が多い分「夫婦の理想像」のレベルが高くなっていることが夫源病の大きな原因だと感じました。「相手に期待しすぎないこと」「喧嘩を恐れないこと」。それから「コミュニケーションを取ること」が、長い目で夫婦生活を見たときに、大切なことなのかもしれません。

石蔵文信先生
循環器科専門医。大阪大学人間科学研究科 未来共創センター 招へい教授。。
三重大学医学部卒業。国立循環器病研究センター、大阪警察病院などで勤務後、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授、大阪樟蔭女子大学教授を経て、現職に。テレビや講演会、雑誌などで活躍するほか、「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」(幻冬舎新書)。「妻の病気の9割は夫がつくる」(マキノ出版)など著書多数。

安田光絵
美容・恋愛ライター。マタニティプランナー。 当webマガジン『Rethink夫婦の時間』ディレクター。日本大学芸術学部映画学科卒業。大学在学中に学生ライターを始め、卒業と同時にフリーに。25歳〜27歳まで上海に留学し、中国茶や薬膳、東洋美容を学ぶ。31歳で結婚、32歳で長男、34歳で次男を出産。産後は、雑誌やウェブ、書籍での執筆活動ほか、安産、婚活セミナーの講師を行う。最新の栄養学を生かした、子どものための料理レシピも好評。