Rethink 夫婦の時間 二人のこと、もう一度。

夫源病の考案者に聞く、夫婦の関係。 不眠、頭痛、食欲不振…その不調の原因は夫かも。【前編】

「夜、なかなか眠れない」「土日になると呼吸が浅くなる」「胃が痛い」などの不調。病院で診断してもらっても問題ない場合、その原因は夫にあるのかもしれません。
みなさん、“夫源病”という言葉をご存知でしょうか。読んで字のごとく、“夫が原因でかかる病”で、めまい、動機、息切れなど更年期障害に似た症状を指します。一見、熟年の女性がかかりやすいと思われがちなこの症状が、20代、30代にも見られるのだとか。そこで、今回、この病名の考案者、大阪大学人間科学研究科 未来共創センター 招へい教授石蔵文信教授に若年世代の“夫源病”についてお話しを伺いました。

理想の相手なんて、どこにもいない。

安田 夫源病とは、画期的なネーミングですよね。どうしてそのような病名をつけられたのでしょうか。

石蔵先生 私のクリニックは、男性更年期障害の治療を行っているのですが、病状のヒアリングやアドバイスのために、必ず夫婦同伴で来てもらうんですね。すると、夫と同様に、妻も深刻な更年期の症状に悩まされていることが多いことが分かったのです。そこで、妻のカウンセリングも同時に行って夫への愚痴を吐き出してもらったら、みるみるうちに更年期障害の症状が解消されたのです。

安田 薬も飲まずに、ですか?

石蔵先生 薬も少しは処方しますが、様々なクリニックに行って、何を試しても治らなかった人が、劇的に改善することが続いたのです。つまり、女性の不定愁訴の原因は、多くの場合が夫への不満やストレスにあるのでは、と判明。これを“夫源病”と名付けました。

安田 最初にこの名前を聞いたとき、更年期の女性だけにある症状だと思ったのですが、そうではないみたいですね。

石蔵先生 10代後半でも20代、30代でも結婚している女性ならほとんどが、夫源病の予備軍です。

安田 えっ! 全員!?

石蔵先生 そもそも相手に恋心を抱くのは、子孫を残すため、脳が不条理な指令を出しているから。このときは、“理性を失った状態”で、相手のことがきちんと見えていませんが、3年経てばその情熱も消えて、現実の相手がクッキリと見えてくるのです。

安田 その情熱が熱いうちに結婚して子供をつくって、と考えると産後、なぜか夫への愛情が冷めた、というのは理にかなっている気もします。

石蔵先生 恋愛は脳の錯覚であり、もともと理想の相手なんてこの世のどこにも存在しないんです。あんなに好きだった相手が、ストレスの元凶となる・・・。

安田 悲しいけれど、それが結婚の現実でもありますね(笑)。とはいえ、平穏に仲良く暮らしている夫婦もいます。では、どんな夫だと、夫源病になりやすいのでしょうか。

夫源病の源になりやすい夫の性質とは?

石蔵先生 まず、以下の項目に2、3個当てはまると注意が必要です。

□世間体が大事。人前ではいい顔をして、家では機嫌が悪い
□家事には手を出さずに、文句は言う
□ありがとう、など感謝の言葉がない
□妻が1人で外出するのを嫌がる
□イクメンを強調したがる
□常に上から目線

安田 これ、いろんな妻から聞く夫の愚痴ですね。うちも、多く当てはまります!

石蔵先生 とくに、モラハラ夫の妻の多くが夫源病に悩まされていますね。もしくは、話を聞いてくれない、コミュニケーションを取ってくれない夫も妻を精神的に傷つけ、それによって自律神経が乱れ、めまいやほてりなどの症状で現れるのです。

やっぱり喧嘩する夫婦のほうが仲良し。

石蔵先生 夫の問題もありますが、妻の方にも夫源病になりやすい性質があります。たとえば、我慢強くて弱音を吐かなかったり、几帳面で責任感が強く、人に頼れない、いい妻やいい母でありたいと強く思っている…、良妻賢母タイプのこのような妻は、夫や子供への期待が大きいうえに、「悪いのは自分だから」と、ガマンしすぎてストレスを貯めていることが多いですね。

安田 今だに残っている「夫を立てる」「一歩下がる」という日本ならではの美徳が、妻を苦しめているのかもしれませんね。

石蔵先生 逆に、自分の意見や感情をストレートに出す妻の方が、喧嘩でストレス発散できるので夫源病になりにくいようです。それに、黙って言うことばかり聞いていたら、男性は調子に乗る生き物なので(笑)。

安田 喧嘩になっても、気持ちを吐き出すことは重要ですね。

石蔵文信先生
三重大学医学部卒業。国立循環器病研究センター、大阪警察病院などで勤務後、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授、大阪樟蔭女子大学教授を経て、現職に。テレビや講演会、雑誌などで活躍するほか、「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」(幻冬舎新書)。「妻の病気の9割は夫がつくる」(マキノ出版)など著書多数。

安田光絵
美容・恋愛ライター。マタニティプランナー。 当webマガジン『Rethink夫婦の時間』ディレクター。日本大学芸術学部映画学科卒業。大学在学中に学生ライターを始め、卒業と同時にフリーに。25歳〜27歳まで上海に留学し、中国茶や薬膳、東洋美容を学ぶ。31歳で結婚、32歳で長男、34歳で次男を出産。産後は、雑誌やウェブ、書籍での執筆活動ほか、安産、婚活セミナーの講師を行う。最新の栄養学を生かした、子どものための料理レシピも好評。